アナウンサーになろうと思ったきっかけを教えて頂けますか?

アナウンサー志望の方の多くがアナウンス学院などに通う中、全然勉強していませんでした。母がアナウンサーだったこともあり、「わたしも受けてみようかな」と思ったのがきっかけなんです。特に勉強をしていませんから、もちろん面接などでもしゃべりは上手くありませんでした。きっと、履歴書を見た面接官の方々が「母親もアナウンサーなのか。じゃあその娘はどれくらいできるのかな?」と、興味本位で採用してくれたのではないでしょうか(笑) 高校の頃はミュージカルの「CATS」を見てミュージカル女優になろうと思い立って、ミュージカルを習ったり、当時は原田知世さんがデビューした頃だったので、その影響でオーディションも受けていました。残念ながらオーディションには全部落ちてしまいましたが、そういう経験が今に生きているのかもしれません。ミーハーなんでしょうね、きっと(笑)

ミーハー心があるからこそ貪欲に取材ができるのですね。 しかしアナウンサーという職業は狭き門ですよね。

TVのアナウンサー志望の方が多かったですね。採用試験の時期も早いので、たくさんの方が受けていましたが、だいたいどこの局も最終まで残るのは決まった顔ぶれでしたね。わたしは幸運にも、文化放送と大阪のTV局から内定を頂いていました。大阪は、母がアナウンサーだった局もあってご縁があったのですが、生まれ育った東京で仕事をしたいと思い文化放送に決めました。 ラジオのアナウンサーはただ座っているだけでは成り立ちません。常に自分で発していかなくてはならないなという意味で、ラジオの方が面白いと思っています。あと、ラジオはやはりフットワークが軽いですね。 お昼の番組で流行の場所などに行ってレポートをしているのですが、TVの取材の場合、車に機材を積んで大所帯で出かけますが、ラジオは移動、取材からレポートに至るまで、全て一人でできてしまうんですよ。

やっぱり話すことはお好きですか?

いえ、話すのは大っ嫌いです(笑)昔はまだ好きな方でしたが、この仕事をするようになってから、わたしって本当に話すのが苦手なんだなと思ってしまって、自己嫌悪に陥ってばかりなんです。「緊張しないですか?」とよく聞かれるのですが、アナウンサーは意外と緊張症の人が多いんですよ。わたしも緊張する方ですね。


芸人さんでも普段から騒がしかったり明るかったりする方ばかりではないみたいですしね。

TVで見ているイメージと実際にお会いした印象は違うことも多いですね。 大竹まことさんは毒舌で怖いイメージで、一緒に番組をやらせて頂くことが決まった時はえーっ?!と思いましたが、実際はとてもやさしくて、ラジオに対する姿勢もものすごく誠実な方でした。大竹さんは毎日お昼に2時間半の番組をやっていらっしゃるのですが、毎日2時間半の生放送というのは本当に大変なんです。番組冒頭のフリートークは通常10分程度なのですが、大竹さんはだいたい毎日25分から30分くらい!しかもこれが面白いんです。何も考えずにやっているように思わせるのですが、実際はすごく細かく構成を考えていらっしゃるようです。武田鉄矢さんとも別の番組でご一緒しているのですが、実はラジオが大好きなんですよ。


お仕事を通じて今まで色々な方々との出会いがあったかと思いますが印象的な方はどんな方でしたか?

それはもうたくさんすぎて選べませんが…
大物のタレントさんほどまわりの人を平等に扱ってくださいます。例えば、アシスタントとしているわたしにも「水谷さんはどう思う?」と名前で呼んでくださるんです。 素晴らしい方々と同じ空気を吸って仕事ができるのは、宝物ですね。 出会いといえば、わたし、映画「ヤッターマン」に出させて頂いたんです。エキストラですが台詞も頂きまして。撮影現場はとても楽しく、貴重な経験でした。こうして「ヤッターマン」に関われたことで、番組の中で宣伝できますし、櫻井翔さんや福田沙紀さんをゲストにお迎えしてお話を伺うこともできました。 「映画とラジオ」というように、媒体同士が一緒になって何かを作っていく機会はこれから増えていくのではないでしょうか。
現在のラジオを取巻く環境は、社会や生活環境の変化によって聴かれる機会が少なくなっていると思います。そこで、特にAMラジオの少し昔っぽいイメージを変えたくて、文化放送の女性社員10数名が集まって「文化放送プラスF」というプロジェクトを立ち上げました。
このプラスFでは、「Food」「Fashion」「Fun」「Friend」「Feeling」など、アルファベットの「F」をキーワードに、全てのプラス志向、人を動かす・心を掴む原動力となる<好き>にこだわり、イベントやWEBを通して、女性たちの<好き>を見つけ、<好き>を応援しています。例えば、女性による女性のためのイベントとして、パーティーや映画の試写会などを企画して、それらを通じて、普段ラジオに接することの少ない女性たちにもアプローチしています。今やラジオ局にとどまらず、これからは色々な仕事の可能性が広がっていくと思っています。


プロとして心がけていることや気をつけていることなどを教えて頂けますか?

映画やお芝居などをよく見るのですが、見っぱなしで終わらないようにしています。例えば歴史物の映画を見たら、さらに本を読んで自分なりに時代背景を勉強したりします。単に面白かった、つまらなかったでは普通ですからね。自分が持った感想をどういう風に自分の中で消化して、それをまた新しい形でどういう風に人に伝えられるかが大事だと思うので、自分できちんと勉強するよう心がけています。 ほかにも、わたしが初めて担当した伊東四朗さんとの番組のプロデューサー(現在の文化放送社長)の言葉が印象に残っていますね。当時のラジオパーソナリティといえば、男女ペアというのが主流で、年齢的にも伊東さんにとってわたしは娘のような存在だったと思うのですが、「リスナーが聴きたいのは父と娘の会話ではない。男と女でいなさい。」と。また、「ラジオで見えないからといって、いい加減な格好はしないように。きちんとお化粧してきれいな服装をする。そうすれば相手の男性も気持ちよくしゃべれるのだ」とも言われました。見えないからこそ見えるのがラジオの世界なんです。


これからやってみたいことはありますか?

ラジオにこだわらず、「ラジオと映画」、「ラジオと雑誌」、「ラジオとネット」など、メディア同士のつながりをもっと密接にして何か発信できるような仕事ができればと思います。 お酒好きが高じて取った焼酎アドバイザーの資格も生かしたいですし、「エンタの女王」で書いているように、舞台は面白い!ということも伝えていきたいですね。





文化放送アナウンサー
水谷加奈


出身:東京都
出身校:立教大学文学部心理学科
誕生日:1967.11.30
血液型:A型
趣味:エアロビクス、酒
担当番組
● 「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(水)
●「武田鉄矢 今朝の3枚おろし」(月)〜(金)
●「ニュースパレード」(月)
● インターネットラジオ スナック加奈

文化放送HP  http://www.joqr.co.jp/index.php






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