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まだ何もない空間について思い描いてみる。
空想の中では、自身の想像にまかせて自由に空間を作り替え、好きに動きまわることが可能だ。
実際の建築は、最終的にはある形や大きさや材料を持ったモノとしてつくられる。その空間には、在り様次第では人の活動や欲求を限定してしまうベクトルを持ってしまう。
何もかも決められた「しつらえ」は、お仕着せがましく窮屈かもしれない。逆にさまざなま活動や装いに対応するべく設けられた多目的なスペースは、そこで何かを行おうとしている人への手掛かりや合図になるモノに乏しく、結局は、無目的で中途半端な空間、寂しい空間にならざるをえない。
デザインにおける無難な無趣味性の消去、無目的方法もあるが、その場所での独自の感情を喚起させる表情や情緒がないなら、退屈で頼りない。

しかし多かれ少なかれ存在してしまうモノゴトを積極的に空間の計画に取り入れ、そこで活動するだろう人々や、暮らすだろう人の行為のきっかけになるような空間や、日常の背景に隠された感覚や感情への気づきを促す独特な空間を構想できないだろうか。
人それぞれに別々な性格があるように、建築もそれぞれ固有で独特な空間を考えてみたい。

想像の内側や自分の生活に堆積している今はまだ曖昧な空間の痕跡をすくいあげてみよう。現実の都市や建築の空間で自分の体をとおして感じたコトや、ファッション・音楽などの媒体で様々に表現され共感できるモノなどが、私たちの「独特な空間」の場になるのかもしれない。

手掛かりを探す方法はさまざま。
そんなインスピレーションをかき立ててくれる街やモノゴトをもとめて。
代官山にでも出かけてみましょうか。

 

進藤勇次(しんどう・ゆうじ)
東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻終了後、同大学非常勤助手(六角研究室)を経てフリー。研究室在籍中は、富山県立立山博物館屋外施設「まんだら遊苑」地獄百景・四天王、Earth Centre Sensory Trail(South Yorkshire UK)などのプロジェクトに携わる。進藤製作所一級建築事務所主宰。建築及び各種空間や装置の計画・設計・製作を行う。第1回のbe sure 21世紀のソファコンペティションVicoMaggistretti賞受賞。宮城県岩出山町感覚ミュージアム「闇の森」暗闇触知空間の計画・設計・装置製作。